エンタメ業界でアルバイトした結果、葬儀屋に就職した女子大生

「最近の若者は…」と、自分の過去と比較。人生の後輩たちを否定する傾向のあるオジさん、オバさんが相変わらず絶えない。では聞いてみよう。今どきの学生の「就職観」を取材した。

大正大学4年(21歳)斎藤しずかさん。

両親と3人の兄は全員、音楽サークルに所属。「私以外の全員が何かしらの楽器が演奏できる音楽家庭で育ったんです」。そんな彼女はというと、「見る専、聞く専」。中学2年の頃に友人の影響で「ももクロ」のファンになって以来、女性アイドルのおっかけに。「エビ中」にも随分の情熱を注いだ。

本当のファンはアイドルもだが、アイドルとファンの橋渡しをする「スタッフ」にも敬意を払うという。「スタッフさんのおかげでアイドルの活躍を見ることができるんです」。そんな本当のアイドルファンの斎藤さんは「ファンのことを考える仕事」がしたいと音楽業界への就職を志した。

エンタメ業界でインターン

大学3年の秋、音楽事業を行う「つばさプラス」を含む「つばさグループ」のインターンに参加することに。

(ご存じ、弊社グループです)

インターンに参加し、さらに興味を持ち、そのままアルバイトをすることに。

夢に一歩、近づいたと思った。

しかし…

配属されたのは同じつばさグループの中でも、音楽事業とは直結しない(音楽関係の仕事もあるが)映像制作やイベント運営をする「アイ・エヌ・ジー」のPR部署だった。

(弊社だ)

まずはテレアポから。1日100件の電話をかけ、自らノルマを設ける。イベント運営に関しては、備品の買い出しから、資料制作まで、ありとあらゆるアシスタント業務を行う。

「人を楽しませる仕事の裏側ですから、大変なことは想定していました。けど、その一つ一つが新鮮で、それを乗り超えられたとき、自分は成長するんだ。そう思ってやっていたのですべてが楽しかったです」。そう振り返る。

企業のプロモーション映像の制作においては映像編集機の使い方も習得した。

(庄野はINGに入り、斎藤さんに編集機の使い方を教えてもらった)

特に「イベント運営」には、どっぷりハマった。「今はアシスタントだけど、これから、ディレクター、プロデューサーになってやるぞ」。

そう思う反面。就活の時期になり、今まではエンタメしか見てこなかったので「外の景色も見た方がいいのかな」と思うようになる。

葬儀屋との出会い

そんな最中、祖父と叔父が立て続けに他界。

記憶のある中では初めてに近い葬儀に参列した。

アルバイトとはいえでも、仕事として真摯に取り組んできたイベント運営。そんな彼女の眼には葬儀が一種のイベントに映った。

遺族が悲しみにふける中、言葉を紡ぎだす、司会者。また遺族に寄り添うスタッフの姿。それを見て、心が惹かれた。

「知らず知らずのうちにエンタメ業界で身に着けた視点で、葬儀を客観的に見ていたのかもしれません」。

気がついたら「その一因になりたい」と思っていた。

さらに、彼女の祖父が亡くなった時にはゴルフ好きの祖父の棺にゴルフクラブを入れてくれたという。燃やせるようにと木材で作ったクラブとゴルフボールを。

最後の最後まで、エンタメ業界に行くか、葬儀業界に行くかを悩んだという。

しかし、自身の経験の中で見つけた職への思いは強くなり、葬儀業界を選ぶことにした。

葬儀の常識を変えたい

「ここでバイトさせてもらって、人を楽しませる喜びを知りました。それを活かしていたいです」。

また、葬式というとネガティブなイメージが支配するが、彼女はこういう。

「人生の中で最大限に悲しい気持ちを少しでも和らげられたらと思います。悲しみの中で、少しでもほっこりして欲しいんです」。

彼女の就職先では式のとりまとめから司会までを一人で行うという。そこで一人前の「葬儀ディレクター」になることを誓ってくれた。

さらに今、エンタメ要素の多い音楽葬や生前葬が増えていることを指摘する。

音楽が好きだった人にはオーケストラを呼んで葬式をする時代。

「私には動画編集ができます。結婚式に新郎新婦の紹介や披露宴の振り返りVTRがあるのに葬式ではほとんど聞きません。思い出を振り返られるVTRを作りたいです」。

葬儀後、ご遺族で食事をしている時に見てもらえる、故人を偲ぶ動画を制作したいと意気込む。

今までにない葬儀の在り方を創造していきたい。

エンタメ業界で学んだ女子大生は、来春、葬儀の道に大きな一歩を踏み出してく。

ニュース バズーカー編集長 庄野数馬