愛こそがすべてだ。ダウンタウンDXをバズらせた人

「大きくなるよ!心配いらない」。別れ際にさり気なく下さったその言葉は、私の心にピタッと張り付いたカイロのようだった。吐息の白いこの季節に。

テレビプロデューサーの西田二郎さん(読売テレビ)。あの人気番組「ダウンタウンDX」生みの親だ。更に今では歌ったり、テレビ局の垣根を越えて他局にも出演されたりと。肩書が多すぎるので以下、ご自身のTwitterよりプロフィールを引用。

会社員リノベーション!ダウンタウンDX元演出。Nj名義で日本クラウンよりメジャーデビュー。西野くん、ホリエモンの「バカとつき合うな」に便乗のマキタスポーツさんと「バカともつき合って」発売!水曜どうでしょう、ふじやん、嬉野さん、カジサック、パインアメ。

Nj(西田二郎)メジャーデビュー曲「ロコの星」を手に。撮影:渋谷のホテルの喫茶店の店員さん

京橋の小汚い焼肉屋で

さて、二郎さんと出会ったのは7年前だ。日テレ系のアナウンス研修が大阪・読売テレビで開催さた日のことだった。関西出身の私にとって、子供の頃からテレビで見ていたアナウンサーの方々に直々、ご指導いただける貴重な機会。ウキウキワクワクしながら局のある京橋(当時)に降り立ったのを覚えている。

そして、充実の研修会後の懇親会。良い意味で小汚い焼肉屋さんに姿を現したのが、アナウンサーではない「強烈なクセをお持ちのおじさん」だった。(業界に入りたての私は不勉強で怖いもの知らずだった)

当時、「積極性」だけが売りだった私は二郎さんの横にベタヅケ。テレビのこと、アナウンサーのこと、プライベートのこと。聞きたいだけ話を聞きまくった。

(二郎さん教え…「表現者たるもの、思い付きでグルメ写真を単純にSNSにアップすることは今日からヤメろ。一晩寝かしてそれでも伝えたい、よっぽどメッセージ性の強いものなら、かまへん」…などを記憶している)

それが功を奏したのか、未だに私のような人間のことを気にかけて下さる二郎さんは心の優しい愛のある方だ。そう、その「愛」こそが二郎さんの脳内メイカーの全てだ。

愛こそがすべて

実は京橋の焼き肉屋でお会いして以来の再会だった。その時間的な距離を全く感じさせない満面の笑みで私の前に登場した二郎さんはやはり、パワフルだった。

延べ2時間。著書「バカともつき合って」のこと、シンガーNjの活動のこと、今更だけどダウンタウンDXのこと。

ライブ配信でお伝えしたかったほど内容満載の「二郎さんトークショー2HSP」。これを文字にするとなると一冊の本になってしまうので、ここでは特に心に残ったメッセージを記すことにする。

開口一番。「あちゃこちゃ考える前に、俺が必ずまず考えることは、そこに愛があるかどうかなんや」。

その人の提案、その人の依頼、その人の主張。目をじっと見たら「本気か、嘘かは分かる」と言う。そう、二郎さんのモットーは「愛がある人間としか付き合わない」ことだった。愛さえあれば、何でもできる。反対に、どれだけ頭がキレる秀才でも愛のない人とは、上手くはいかない。誰よりも愛が深い二郎さんだからこそ説得力が凄い。当たり前のことかも知れないが、忙しさを言い訳に忘れがちだった「相手への思いやり」。自分自身を鏡でじっくり見つめる機会となった。

己の遺伝子と本能を信じろ

次に二郎さんは「これからの時代、専門的な知識はいらない」と言う。ネットで調べたら何でも分かる時代。「人間にしかできない」ことを磨いていかなければならない。 二郎さん自身、「自分には客観的に見て人より優れていることは何もない」と言うのが口癖だ。

だからこそ、自分の頭に浮かんできたことを信じるしかないのだ。

ダウンタウンDXの人気コーナー「視聴者が見た」。芸能人の目撃情報を「ただ読むだけ」という企画はまさにそうだった。ありそうでなかった。「ふと、これええんちゃう」と思いついたことを「信じて」やり続けた結果、花が咲いた。

「遺伝子や本能のレベル」でその人にしか表現できない「感性」がある。

「皆、あれこれ考えすぎやねんな。だから考えているうちに、考えすぎて、どこかの誰かが既にやってしまったことに寄せてしまうんや」と。そうしてオリジナリティーと言うのは薄れてしまう。「思い付き」を「信じる」こと。

「土地は荒れていても、自分のアイデアに愛情をもって育てていったら絶対に花は咲くから」。このテーマを綺麗に締めくくってくれた。

君はドキュメンタリー映画の主人公だ

そして、「5年後、10年後の自分へのラブレターは常に書いておかなあかんのよね」と二郎さん。今のことばかりを考えず、先を見据えながら今この時を生きる。胸を張って。自分はドキュメンタリー映画の主人公だ。作品の中を生きる。5年後、10年後に振り返った時に恥じぬよう。

最後に、触れられたのは「こどもの未来」についてだった。前段に通じるところでもあるが、「今のこども達は未来の大人」。

「現在大人の俺たちがお手本にならなあかんのよね。未来の大人の像を俺たちがしっかり見せていかなね」。

二郎さんのモチベーションの一つはここにあったようだ。大人の私たちが 「想像力」を働かせて 未来を見据えていないと、子供たちにその姿が「カッコよく」は映らないのだ。

表情は時々、クシャクシャになるほど柔らかい二郎さん。その一方で、頭の中には常にエドワード・エルガーの「威風堂々」が流れているようだった。

愛情深い二郎さんにエネルギーをもらって2020年をスタートした。この気持ちを独り占めするのはもったいないと思い、ここに記した。少しでも皆さんに伝われば幸いだ。

追伸

それから思い出しました。

7年前、京橋の焼き肉屋で二郎さんに頂いた言葉。グルメSNSのクダリを遙かに超えて私に大きな影響を与えてくれた教えを。

それは「自分の脳みそを誰よりも愛しなさい。そして庄野君の場合は自分の声を誰よりも愛しなさい」と言うものだった。

人になんて言われようが、自分だけは自分を信じて自分を褒めてあげる。すると、脳が、声帯が「もっと頑張ろう」と思って気張ってくれると言うアドバイスだった。

これは事実だった。今でこそ番組やCMのナレーションをさせて頂ける声になったが、私の当時の声は鼻から抜けたような「か細い」ものだった。それを褒めて褒めてトレーニングをし続けた結果、「商品」になった。7年前の二郎さんの教えはまさに今の私を作っている。

次の7年、今回頂いた言葉を胸に。成長した姿を見せられるよう、精進する。

ニュース バズーカー編集長 庄野数馬